なぞなぞみたい。
ピンヒールは時々はくけど
『ピンヒールははかない』感想って
なんだ?
私がたまに、はくピンヒールは5cm。
排水溝の蓋や、マンホールに
ヒールがはまって
やっちまった…は、あるあるだ。
でも、これは本の話。
NY在住ライター佐久間裕美子氏の
エッセイだ。
NYに来た頃は、ピンヒール履いて
ガツガツ仕事してたけど
今は、地位もそれなりに築けたし
スニーカー履いてゆるゆる
働いてるわ〜。
という内容かと思った。
そして、これを読めば、頑張って
仕事するわ〜。
励まされるわ〜。
私もピンヒールは、時々はくけど
もう卒業してスニーカーで、行くわ〜。
NYで働きたいわ〜。
と、感想が、出来上がるのかと思った。
が、ピンヒールエピソードは
どこへ行った?
なのである。
ルブタンのピンヒールが
マンホールに、はまって
ヒールが、ガタガタになった…と
そんな話ではないのだ。
ピンヒールは、前半のこの本のお題を
決めた盛り上がり部分にしか
出てこない。
友人が、新しいビジネスのために
名刺を刷ることにしたが
普通の肩書きよりも、自分を表現する
フレーズにしたいと、フレーズのメモを
読み上げた中に、著者である
佐久間氏が、一番、ぐっと来た言葉が
『パンプスははかない』であった。
そして、佐久間氏が、自身を振り返り
決めて宣言したのである。
一生懸命生きれば生きるほど、人生は簡単ではない
と実感する。でも、せっかくだったら
フルスロットルめいっぱい生きたい。
40代に入ってつくづくそう実感することが増えた。
時間は短い、やりたいことはいくらでもある。
迷っている暇はないのだ。
だから自分の足を減速させるピンヒールははかない。
『ピンヒールははかない』より抜粋
前半は、アラフォー独身女子には
自分らしく生きる事や
おひとりさまの共感要素は多く
ふんふんと、読めるのだが
後半から、著者の感情が、加速するように
内容も、どんどんヘビーに。
レイプを公表した人とか
愛する人の死とか
現大統領の選挙の話とか
どれも、濃くて重い。
でも、表現が、カラッと湿度もなく
嫌な重圧感も感じない。
女として生まれてしまって
でも、可愛いではなく、男まさりで
「女の子」社会の競争では
スタートラインにすら立たない?立てない?
モテる、女らしいの競争がバカバカしい
トムボーイ的な著者。
他者を妬む環境と、他者を比較しても
ネガティブな感情にしか繋がらない嫌悪感。
自由になりたくて
NYへ飛び出して行った。
どこどこのなんとかちゃんは私立の名門校に
受かったらしい、お医者さんと結婚したらしい
田園調布に家を買ったらしい
かわいい子供を産んだらしい
『ピンヒールははかない』より抜粋
そうそれそれ。
日本らしいよね。
本当に。
ザ・世間体、他者にとにかく承認されてこそ。
日本って、そういうのが面倒臭い国だ。
著者のNYへ、飛び出して行った
その勇気に、ただ脱帽なのだ。